言葉ではない甘え
普段、息子と私は同じ部屋で寝ています。 シングルベッドを2つ繋げて寝ているのです。  息子は昔から一人で眠れるタイプですが、 息子が眠りにつく10分間だけは、私と一緒に添い寝したり、 私が息子の横で子守唄を歌ったりするのが、いつもの習慣です。  息子はその時間だけは大切だと思っているらしく、 私が家事などで忙しいと、私に時間の余裕ができるまで、 フラフラと私の周りで一緒に寝るのを待っていてくれます。  しかし、最近、息子はインフルエンザにかかり、 主人も私も風邪をひいていたので、 家族3人、それぞれ別々の部屋で寝て、 病気をうつしあわないようにしたのです。  私「お母さんの風邪を【息子の名前】にうつしたくないから、     今日は別々の部屋で寝ようね」  息子「そうか・・・なんか部屋が広く感じるね」  私は息子のこういう何気ない表現方法が好きなのです  この日も、もちろん、いつものように 10分間の親子のふれあいタイムがありました。 いつもの息子は、10分ぐらい経過すると以下の言葉を言います。  息子「もうお母さんキッチンに戻っていいよ。        お風呂に入ってきていいよ」  私を気遣っているのか、 それとも一緒にいると眠れないからなのか・・・  そこは定かではありませんが、 息子はいつもそう言ってくれます。  そしてその言葉を合図に、私は息子から離れます。  しかしこの日は・・・いつもの言葉がありませんでした。 そこで私はそのまま息子の傍にいました。 息子は安心したのか私の目の前で眠りにつき始めました。  息子が寝たような気がしたので、 私は息子と繋いでいた手を離そうとしました。  すると・・・息子は私の手をぎゅっと握り返したのです 離れないで・・・息子の心が伝わってきたような気がしました。  息子はインフルエンザで入院中、 一人の夜を過ごし、ずっと一人で、寂しかったのだと・・・ その気持ちが言葉ではなく態度や仕草で現れたのだと思いました。  そんな健気な息子がたまらなく愛しく感じました。